Archive for the ‘ソーシャルスキルトレーニング(SST)’ Category

【SST】言葉の表出がよりスムーズにできるようになる

2020-05-12

 明るく素直で優しく、友達とトラブルになることなく、仲良く過ごすことができています。鬼ごっこやサッカー、ボール当て等、ダイナミックに身体を動かして遊ぶことが大好きです。お絵描きをしたり折り紙で遊んだりすることも好きで、作品をきっちりと丁寧に仕上げることに本児童の繊細さが感じられます。また、ルールに対する意識が高く、自分がそのルールを守るだけでなく、友達にも「〇〇しちゃダメだよ」と柔らかな口調で教えてあげています。運動遊びでは、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。握力が強いこと、体重のかけ方が上手なことから、綱引きがとても強いです。跳び箱では、怖がらずに勢いをつけられるようになり、縦5段を上手に跳び越えられるようになりました。縄跳びでは、交差跳びがたくさん跳べるようになり、二重跳びも1回跳べるようになりました。集団遊びでは、ルールに沿って積極的に参加し、楽しんでいます。学習の面では、公文・レプトンをがんばっています。公文では、理解力があり、新しい内容もすぐに自分でできるようになります。また、1問ずつ丁寧に取り組むことができるので、計算ミスもあまりありません。レプトンでは、アルファベットそれぞれの文字の音が分かるようになってきて、一人で読める単語が増えました。また、英単語を書くこともスムーズにできるようになり、がんばっています。気になる点は言葉の表出や算数の文章題、国語の読解問題が苦手な点です。以下の取り組みを通じて、気になる点の改善を図っていきます。

 「三宅ら(2002)は、発達障害幼児に情動的交流遊びを中心にしたコミュニケーション指導を行い、指導者と子どもとの間に情動の共有が成立するにしたがい、社会的相互作用の水準、要求の伝達手段、模倣のすべてにおいて向上を示し、コミュニケーション行動の発達が認められた」と、人間関係を重視した言語指導法で報告しています。弊所でも戸外活動や運動遊び、自由遊び等、様々な場面で、鬼ごっこやドッジボール、メリーゴーランドなど、楽しいと感じる情動的交流遊びをよく行っています。遊びの中で楽しさや面白さを共有し、本児童との心の距離が縮まったことに伴い、自然発生的な言葉のやりとりも増えてきています。実際に、本児童から話しかけてきてくれたり、質問したことに対して「分からない」と言うことがほぼなくなり会話が少し続くようになったり、帰りの会の発表が以前に比べてスムーズにできるようになったりし、コミュニケーション力が向上してきている実感があります。また、ここ最近は、Show & Tellに挑戦し、家で作ってきた物を見せながら、発表をしてくれます。まだあまり慣れていないので、質問に対して一言答えることが精一杯ですが、このような機会を提供して繰り返し挑戦してもらい、発表することに慣れてもらいます。今後もこれまでと同様、様々な遊びを通して本児童との関係を深めたり、発表の機会を提供したりしてコミュニケーション力を伸ばし、言葉の表出がスムーズにできるようにしていきます。

 算数の文章題に関しては、苦手意識があり、あまり考えずに出てきた数字を順番に使ってしまう傾向があります。具体的には、「1つ9円のあめを5個買います。代金はいくらですか。」という問題に対し、「1×9=9」という式を立ててしまいます。まずは、問題の内容を絵に表し、内容をイメージ化する練習をしていきます。初めのうちは、一緒に解きながら「あめはいくらだった?」「いくつ買うの?」等と質問して答えてもらい、絵に表す方法を覚えてもらいます。できるようになってきたら、問題文を一人で読んで絵の穴埋めをすることに移行していきます。そして、徐々に手助けを減らし、最終的には、自分で読んで自分で絵に表すことができるようにし、一人で問題を解けるようにしていきます。

 国語の読解問題が苦手な理由を知るため、事前に読む力や内容の理解力があるかどうか別々に確認してみました。本を読む時に読みとばしたり逐次読みしたりすることはなく、スラスラと読むことができたことから、読む力に問題は見られません。また、運動遊びで説明や指示を出した時にその通りに動くことができていることから、話を聞くことに困っている様子は見られず、話を聞いて理解する力にも問題は感じられません。読む力も内容を理解する力もあることから考えると、読解問題や文章題が苦手な理由は読むこと及び内容を理解することの二点を同時に行わなければならないことにあるのではないかと考えられます。また、「場面や状況の推移、対人関係の枠組み、ストーリーの展開等の幅広い文脈の中で、言葉を理解したり使用したりする技能(島田,2008)」である語用能力に弱さがあることが言葉の表出が苦手な点にも通じていると考えられます。そこで、以下の知見を参考にして実践を行い、気になる点の改善を図っていきます。

 「児童・生徒が示す語用能力の問題は、認知的な関係処理機能に不全が生じたために、文脈が内包する多様な関係情報の符号化が困難になり、文脈に即した言語活動を行うことが難しくなった状態とみなすことができる(島田,2008)」「項目特定処理を中心にした指導を継続的に実施すれば、事例が生来的に有している関係処理機能の弱さに負担をかけず、効率的に指導を進めてゆくことができるため、結果的には意味処理の深まりが関係処理機能の改善に有効な作用を及ぼすことが分かった。関係処理と項目特定処理は意味処理の両翼を担う根源的な認知機能であるため、児童にとって使いやすい項目特定処理機能を用いれば深い意味処理が可能となる。さらに、意味処理の深まりは事象間の関係性への気づきを促すため、関係処理機能の改善が生じてくるのだと結論することができるのである(島田,2008)」と報告されています。

 弊所では、運動遊びの始めの時間を利用して以下の実践を行い、語用能力を改善させていきます。まず、短い話を読んでもらい、項目特定処理をしてもらいます。登場人物はどんな気持ちだったか、自分だったらどうするか等を質問し、書かれていた内容について自分なりに意味づけをしてもらいます。項目特定処理を繰り返し行うことで、文を読みながら文意を読み取る力を伸ばしていきます。さらに、この実践を通して語用能力が伸びてくると、日常生活の場面においても相手の気持ちを察したり、その場の雰囲気や状況を読み取ったりする力も伸び、コミュニケーション力も向上していくと考えられます。日常生活において言葉の表出がよりスムーズにできるようになることを目標とし、まずは項目特定処理を通じて語用能力の向上を図っていきます。


【引用文献】

大島光代・都築繁幸(2014).発達障害児の言語・コミュニケーション指導の研究動向に関する一考察,教科開発学論集,2,211-220.

島田泰仁(2008).言葉の表現が困難な児童の関係処理と項目特定処理機能に関する指導事例,鳴門教育大学研究紀要,23,155-166.

Juri, F.

【SST】感情をコントロールし、穏やかに過ごせる日を増やす

2020-04-17

 明るく素直な性格で、がんばり屋さんな所がたくさん見られます。また、言葉の端々に優しさが感じられることが多く、本児童のお話を聞いていると、ほんわかとした気持ちになります。自由遊びの時間は、ブロックで遊ぶことが好きで、ロボットをよく作っています。作り終わると誇らしげな顔をして、気に入っている部分や工夫した部分の説明をしてくれます。運動遊びでは、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。記録会では、長縄の回旋ジャンプ100回やドリブル100回を合格し、とても喜んでいました。集団遊びでは、積極的に取り組み、楽しそうに活動しています。学習の面では、切り替えが早く、集中して取り組むことができています。公文をがんばっていて、わり算の筆算ができるようになりました。内容が少しずつ難しくなってきましたが、新しいことができるようになるのがとても嬉しいようで、前向きに取り組んでくれています。戸外活動では、ペアを意識して行動することができるようになりました。また、友達と交互に遊ぶ場所を決めることができるようになり、あまり仲介をしなくても、仲良く過ごせるようになってきました。今後も、本児童の良い面をさらに伸ばすことができるよう努めていきます。

 気になる点は、学習の時間に公文の直しが思い通りにいかないと感情が高ぶってしまう点、おもちゃを取られそうになったり、友達の行動が気になったりすると、怒鳴ったり、強めの言葉を使ったりする点です。この点を改善するため、ヴィゴツキーのZPD理論に基づいて支援を行い、穏やかに過ごせる日を増やしていきます。

 ロシアの心理学者、ヴィゴツキーは、最近接発達領域(ZPD)について、「『教育学は、子どもの発達の昨日にではなく明日を目指さなければならない。そのときにのみ、教育学は、最近接発達領域のなかでいま横たわっている発達過程を、教授―学習過程のなかで呼び起こしうるのである』[1982, c.251]。『未成熟の領域は、しかしながら、成熟しつつある過程の領域であり、子どもの最近接発達領域を成します』[1984a, c.264](堀村,2013)」と述べています。また、Schneuwlyは、「最近接発達領域の概念は、個人の内的可能性と外的要求との矛盾の働きを理解する理論上の試みである(岡花,2009)」と指摘しています。最近接発達領域理論の解釈をめぐっては、様々な議論が行われてきましたが、ブルーナーがその議論を一歩進め、「足場かけ(Scaffolding)」という概念を提唱しました。「学習者の周りにいる援助者が、課題解決のモデルを示したり、課題解決のために注目すべき特徴を示したりすることによって、子どもはひとりで解決できない、より高次の課題を遂行できるということを指摘した。このような最近接発達領域における援助のあり方を、「足場かけ」と論じたのである(岡花,2009)」と述べられています。本児童が公文の直しで感情が高ぶってしまう理由としては、遊びたい気持ちが強いため焦って分からなくなってしまうこと、できない・分からない時の感情の処理の仕方が上手ではないため過剰に自分を責めてしまうことが考えられます。まず、学習時に感情が高ぶることを減らすため、以下に示す4つの段階に分けて支援を行っていきます。第一段階は、直しに対する嫌なイメージを減らす段階です。指導員が問題を解く所を隣で見ていてもらい、さっと終えられるようにします。第二段階は、指導員と一緒に問題を解く段階です。指導員の出すヒントをもとに、自分で計算してもらいます。第三段階は、間違っている部分を明確に示してもらい、自分で解き直す段階です。どこが間違っているかを考える負担を減らし、取り組みやすくします。第四段階は、一人で解く段階です。間違っている部分を自分で見つけ、訂正することができるようにします。第一段階から第四段階へ徐々に移行し、支援の度合いを少しずつ減らしていきます。一人でできる第四段階を目指し、まずは、第一段階から始めていきます。その際、本児童自身が『足場』を見つけ出し、創造していく過程を見落とすことがないよう配慮します。また、段階が上がった時に上手くいかない場合は、一旦元の段階に戻る等、柔軟に対応し、落ち着いて穏やかに取り組むことができるようにしていきます。

 また、ヴィゴツキーは「子どもの発達における遊びとその役割」において、次のように述べています。「就学前期の子どもは、日常生活においてルールに従えなくても、遊びのなかでは喜びをもってルール(役割)に従うという[cf.2005, c.209]。ここにはルールを楽しみ、喜びとする子どもの心理がある。ルールの認識と喜びの情動は同時に成立しているのである[cf.2005, c 216]。しかし、二歳児ではどうだろう。二歳児は目の前にあるキャンディーを、遊びのルールに従って扱うことをせず、衝動的満足に従って食べてしまうだろう。就学前期の子どもは、眼の前のキャンディーをもちろん食べたいが、二歳児のように衝動的満足にしたがうよりも、遊びのルールの下でそれを扱うことの方により大きな喜びを見出すのである(堀村,2013)」。遊びの中では喜びをもってルールに従うということから、遊びの中でルールを学ぶことができるということが言えます。これまでに、運動遊びで「負けても泣かない・怒らない・途中で止めない」というルール、戸外活動で「ペアを守る」というルールを導入してきましたが、ルールをしっかりと意識して守ることができており、改善の様子が見られています。また、「遊びは子どもの最近接発達領域を産出する。遊びの中で子どもはいつも、自分の平均年齢期よりも上位におり、自分の普段の日常的行為よりも上位にいる。[2005, c.220]このことから、遊びのなかで喜びの情動が増大するという力動的過程は、ZPDと同義的であるとみなすことができる。そしてそれは『成熟しつつある』という過程の内容を表していると考えることができるのである(堀村,2013)」とあることから、遊び自体が本児童の情緒の発達に良い影響を与えていると考えられます。今後も、自由遊び、運動遊び、戸外活動等、様々な遊びを通して、情緒の発達を促していきます。

 思い通りにならないことがあると怒鳴る点に関しては、行動分析的アプローチによる支援も行っていきます。本児童のこの行動は特定の友達に対して生じることが多く、その時の感情の度合いによって、問題行動が起こる場合とそうでない場合があります。問題行動を起こさず我慢できることもあることから、行動のレパートリーはもっているので、以下の支援を行い、気になる行動を減らしていきます。まず、「思い通りにならなかったり、嫌な思いをしたりしても怒鳴らない」等、行動の重要性を言語化し、予めルールとして伝えます。また、我慢できなくなりそうな時や自分で解決できない時は大人に頼るようにしてもらいます。大人が仲介することで、それぞれの場面の対処方法や考え方を覚えてもらい、徐々に自分で対処できるようにしていきます。また、声がいつもより大きくなる等、様子が怪しくなってきた時には、声掛けによる補助刺激を付加し、未然に対応できるようにします。怒鳴ることを我慢できたり、別の方法で回避できたりした場合にはほめ、好ましい行動を強化していきます。

 本児童は学習力があり、ルールを守ろうという意識も強いです。本児童がより過ごしやすくなるよう配慮し、友達と仲良く穏やかに過ごせるようにしていきます。


【引用文献】

岡花祈一郎・多田幸子・浅川淳司・杉村伸一郎(2009).幼年教育研究年報.31.131-137.

堀村志をり(2013).最近接発達領域は「可能性の領域」か:発達の力動の観点からの考察.研究室紀要.39.43-52.              

Juri, F.

【SST】その場にふさわしい態度を知り、振る舞い方を覚える

2020-01-27

 明るく前向きな性格で、運動も学習も意欲的に取り組んでいます。運動の面では、マットの前転でスムーズに起き上がれるようになったり、長縄の回旋ジャンプで縄のタイミングに合わせたジャンプが長く続けられるようになったりしています。集団遊びでは、楽しくて気分が盛り上がる中でも安全面のルールをしっかりと意識した上で活動できるようになってきました。今後も安全面に気をつけながら楽しく身体を動かしてもらいます。学習の面では、前向きに取り組み、がんばっています。公文では、内容が少しずつ難しくなってきましたが、繰り返し練習し、一人で解けるようになっています。レプトンでは、新しい単語や会話文を覚えるのが得意で、スイスイと進んでいます。書くことにも取り組み、アルファベットの大文字・小文字が全て書けるようになったり、ローマ字や発音をもとに単語や文が書けるようになったりしています。記憶力が優れていて、新しいことをどんどん吸収することができ、がんばっています。今後も公文・レプトンを通して、計算力・英語力をさらに伸ばせるよう支援していきます。
 少し気になる点は、その場にふさわしい態度をとることができない点です。整列する時や体操隊形に開いた時に友達といつまでも話していたり、戸外活動の移動時に後ろを向いて友達と話しながら歩いたり、お片付けの時間に何もせずフラフラしていたりします。これまでたくさん声を掛けてきましたが、その場では素直に応じるものの根本的に行動が変わらず同じ注意を何度も受けていることから、その場面でどう振る舞えば良いかを知らない可能性があります。そこで、その場にふさわしい態度を身に付けてもらうことを目標とした支援を行っていきます。そもそも態度とは、決心し行動に移すこととR. M. Gagneは述べています。ある態度を身に付けたと判断される基準はその行動が自発されることで、そうしようと思っているだけで行動が伴わない場合や指示を受けてそれに従う場合はその態度を身に付けたとは言えません。また、「正統的周辺参加において、学習とは参加である。(中略)学習とは、従来考えられてきたような個人による知識や技能の獲得など個人の中で起こっている認識論的な問題ではなく、社会的世界やネットワークといったものと切り離して考えることはできないものだ。更に、参加の度合いの増大にともなって、その共同体における学習者のアイデンティティが他の成員との相互交渉によって確立されていく(遠藤,2005)」とあります。つまり、学習は個人で行われるものではなく、ある集団に属し、その集団の中にいる人とのやり取りを通して生じるとされていて、集団に参加するという文脈の中で自分の居場所を知り、自分が何をすべきか、どう振る舞うべきかが次第に分かるようになるということです。教室では、この場面でこうすべきというルールが決められていますが、先に述べたように本人はまだルールに沿えていないことがよくあります。本人に、他の子とは異なる自分の行動に気付いてもらうため、すべきことを視覚化して自覚を促すとともに、その成果をトークンと連動させ、自発的にふさわしい態度をとることができるようにしていきます。また、「○○君、〇〇してね」と単に指示を出すのではなく、「○○君」で止め、その後に何を言おうとしたか本人に考えてもらう機会を作ります。ただ言われたから直すのではなく、今何をすべきか自分で考え言語化してもらうことで、自分でその場に合った行動を選択し実行する力を育んでいきます。


【引用文献】
遠藤ゆう子(2005).『状況に埋め込まれた学習正統的周辺参加』を読む―学習と学習環境デザインを考える―,言語文化教育研究,3,226-236.

Juri, F.

【SST】落ち着いて座ることができるようになる

2020-01-26

 昼食時に意味もなく急に立ち上がったり、座っている時にそわそわしていたりする等、あまり物事に集中できず落ち着きがありません。現在の症状を改善させるためには、一般的に運動が良いと言われていますが、今回は以下の知見を参考にして前頭葉機能を向上させ、症状の改善を図っていきます。
 「難しいバランスコントロールを要する(中略)遊び経験と前頭葉機能には正相関がある(志村・有村,2005)」という知見から、バランスをとる遊びを通して前頭葉機能を向上させていきます。最初は片足立ちや平均台、バランスボール、一本橋クマ歩き等、簡単なものから始め徐々に難易度を上げていきます。また、現時点では、ラダートレーニングのうち、右足→左足→左足→右足という順に足を前に出して進むような、日常の動きと異なり歩くバランスを崩すような動きが苦手です。初めはゆっくりと確実に行うことを意識してもらい、徐々にスピードを上げていけるよう練習していきます。
 「握力と前頭葉機能との関連性は(中略)認められている(志村・有村,2006)」、「握力が育つような経験が脳機能をも育てる可能性が考えられる(志村等,2008)」という知見から、遊びの中に握力を鍛える要素を取り入れていきます。運動遊びでは、綱引きや大根引っこ抜き、鉄棒のぶら下がり、レスキュー隊等、ギュッと握る動作のある遊びがたくさんあります。友達と勝負したり、ミッションを作ったり、ストーリー性のあるものにしたりする等、より楽しく活動できるよう工夫していきます。また、戸外活動では、公園に出かけた際、本人の好きなターザンロープや雲梯等で楽しく遊んでもらう中で、自然に握る動作を増やしていきます。好きな遊びは何度も繰り返し取り組むので、より効果があると考えられます。
 「屋外での遊び経験が豊かであると、筋力(握力)や瞬発力、巧緻性が高い関係が読み取れた(志村等,2008)」、「体を使った屋外での遊び経験は前頭葉機能とも、運動能力とも正の関連を示す傾向にあった(志村等,2008)」という知見から、戸外活動で公園遊びを積極的に取り入れていきます。友達とかけっこや鬼ごっこをする等、広い場所で思いっきり走ること、様々な種類の遊具に挑戦すること等、公園ならではの良さを生かしながら、楽しく身体を動かす経験を積み重ねてもらいます。
 これらの実践を行う際は、本人が楽しい、もっとやりたいと感じるよう配慮していきます。また、ほめてやる気を引き出しながら成長を促していきます。


【引用文献】
志村正子・原田直子・平川慎二・有村映子・北川淳一・山中隆夫・野井真吾(2008).幼稚園児における運動・遊び経験と運動能力および前頭葉機能との関連性―横断的検討ならびに遊びによる介入―,発育発達研究,37, 25-37.

Juri, F.

【SST】相手に伝わるように話すことができる

2020-01-25

 お話することが好きで、色々なことを話してくれますが、発音が少し不明瞭で聞き取りづらく、内容が分からないことがあります。まだ利用回数が少なく、本人のことを十分に知っているとはいえないので、まずは遊びを通して距離を縮めていきます。また、戸外活動等で一緒に遊ぶ中で楽しさを共有し、共通の話題をもてるようにします。共通の話題であれば、話の内容をイメージしやすく、多少聞き取りづらい部分があっても「〇〇のことかな?」と確認することができ、話を完結させることができます。また、会話中に本人の話したことをそのまま返すことで「きちんと伝わっているよ」というメッセージを伝え、安心感をもってもらえるようにしていきます(オウム返しの傾聴技法)。

Juri, F.

【SST】独り言を減らす

2020-01-24

 通所し始めてから半年程経ち、教室での活動やルールにも慣れ、落ち着いて過ごせるようになりました。最近は、友達への興味が出てきて、少しずつ関わりが増えてきています。自由遊びの時間に、友達がしている遊びに加わって仲良く遊んだり、戸外活動でペアの子を意識して行動したりすることができるようになりました。今後も戸外活動等、指導員が見守る中で友達と一緒に楽しく遊ぶ経験を積み重ねてもらい、さらに友達との関係が深まっていくよう支援していきます。
 コミュニケーションの面では、独り言が多いことが気になっています。学習の時間や帰りの会のような静かにしていないといけない場面、昼食時や移動時のような話してもよい場面に分けて対応を変え、独り言を減らしていきます。静かにすべき場面では、独り言を言わないことをルールとして予め伝えておきます。「友達が学習に集中できないから」、「友達の発表が聞こえないから」等、静かさを保つ行動の重要性を言語化し、ルールを守ろうという意識につなげていきます。また、「今から皆の発表が終わるまで」等と静かにする時間を明確に示して取り組みやすくしたり、途中で「独り言言ってない?」と確認する等、補助刺激を加えて再び意識を高めたりし、成功体験を積み重ねられるようにしていきます。また、できた時には「静かにできていたよ」「ルールを守れたね」と伝え、次もそうしようと思ってもらえるようにします。話してもよい場面では、非両立行動分化強化にて、独り言から会話へ行動を変容させていきます。独り言を言い始めた時に何か話を振って話し相手になり会話を続けます。好きなアニメや恐竜、遊びのこと等、本人の興味に合わせて話を振るよう配慮し、独り言を減らすだけでなく、人との会話の楽しさを感じてもらえるようにします。

Juri, F.

【SST】名前を呼ばれたら返事をして相手の話を聞くことができる

2020-01-24

 戸外活動等で遊びに夢中になっていると指示に対して反応が無いことがよくあります。肩をトントンとして注意を引いてから指示を出すと素直に応じてくれることから、指示そのものが耳に入っていないように思います。まずは、楽しい環境を提供し、人との関わりの楽しさを感じてもらいます。友達や指導員と一緒に遊ぶ機会を増やし、相手に意識を向けられるようにしていきます。また、名前を呼ばれたら必ず返事をすることをルールとして予め伝えておきます。初めのうちはすぐに反応しないことも多いと思いますが、繰り返し呼んだり、ルールを再確認したりして名前を呼ばれたら返事をすることを習慣化していきます。すぐに反応できた場合にはほめ、次もそうしようと思ってもらえるようにします。また、話を聞くと良いことがある経験、人と関わる楽しさを感じられる経験を繰り返し、呼び掛けに反応しようとする意識を高めていきます。

Juri, F.

【SST】その場の状況に合わせて行動を変えることができる

2020-01-22

 明るく素直な性格で、落ち着いています。友達に優しく、トラブルになったことはありません。ブロックで作った物を持って友達の遊びに加わったり、友達とじゃれ合ったりする姿がよく見られるようになりました。自分から友達との関わりを求めるようになり、仲良く過ごすことができています。
 ここ最近は、様々な面で積極性が伸びてきています。運動遊びの転がしドッジボールでは、外野の時に友達と競うようにボールを取っています。また、学校で作った物や描いた絵を皆に見せながら説明することが好きで、工夫した所などを堂々と伝えることができています。
 運動の面では、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。記録会で繰り返し取り組んでいる短縄が長く跳び続けられるようになり、この半年間で記録が35回から67回に伸びました。以前は疲れてくると引っかかっていないのに跳ぶのを止めてしまうこともありましたが、今ではなくなり、諦めずにがんばり続ける力がついてきました。集団遊びでは、鷹と小鳥やヘビとカラスのような素早く動く種目、ウォールボールやバレーボールのようなボールを使った種目が得意です。また、ルールの理解力があり、初めてのことでもルールに沿って取り組むことができています。これからも楽しく身体を動かしてもらい、体力をさらに伸ばしていきます。
 少し気になる点は、マイペースで待っている人がいてもあまり急がない点です。運動遊びの始まりで皆が整列しているのにランドセルに用具をしまっていたり、学校に迎えに行った際、荷物をまとめたり靴を履いたりする時にゆったりしていたりします。悪気があるわけではありませんが、途中で「そのまま籠に置くだけでいいよ」等と声を掛けてもランドセルの中に片付けないと気が済まないようで、そのまま続けてしまいます。一つ一つのことを丁寧にきちんと行うことができることは良い面でもありますが、その場の状況を適切に読み取り、その場に合った行動に変えられるようにしていきます。その都度、その場の状況やどう行動すべきかを伝え、経験の中でその場に合わせた行動を身に付けてもらいます。

Juri, F.

【SST】わざと良くないことをすることを減らす

2020-01-21

 穏やかな性格で、落ち着いて過ごすことができています。戸外活動では、能動的な動きが多くなり、色々な遊具にチャレンジしながら楽しそうに過ごしています。これまでの経験の中で遊具に対する恐怖心が減り、新しい遊具でも手をつないだり一緒について行ったりしなくても、近くで見守っているだけで遊べることが増えてきています。特に好きな遊びは、ネットの上を歩いたり、トランポリンをしたり、滑り台を滑ったりすることで、気に入った遊具で繰り返し遊んでいます。また、「帰るよ」と声を掛けた時に感情が高ぶることがあるなど、「もっと遊びたい」という気持ちが伝わってくることも出てきました。これからも様々なことに挑戦する経験を積み重ねてもらい、楽しく過ごしてもらいます。
 少し気になる点は、わざと良くないことをする点です。昼食時に机に足を上げたり、良くない言葉を口にしたり、お茶をわざとこぼしたりする等、相手が嫌がることをして面白がることがあります。声を掛けるとニコニコしてまた同じことをするので、注目してほしい気持ちから生じている行動だと考えられます。机に足を上げる行為は、お腹が満たされて食べることに飽きてきた頃や食べ終わった子が遊び始めた頃にすることがよくあります。予防策として、戸外活動での活動量を増やしてお腹を空かせるようにしたり、食べる場所や向きを変えるなど、他の子の刺激が入りにくい環境を整えたりしていきます。良くない言葉を口にする点に関しては、口にしたその場は敢えて関与しないようにし、その言葉を口にしても相手の気を引けないことを経験の中から学んでもらいます。また別の機会に、良くない言葉を、似た音やリズムをもつ発しても良い言葉に言い換える試みをしていきます。例えば「つくえ」に言い換える場合、「つく○」→「つ○○」→「○○○」と書かれたカードを順に見せながら○の部分を本人に言ってもらい、良くない言葉から離れられるようにしていきます。わざとお茶をこぼす点に関しては、教育的ニュアンスの含まれた嫌子を出現させ自分自身で掃除をしてもらうようにします。あまりやりたくない面倒な行動を伴わせることで、これからはしないようにしようと思ってもらえるようにします。活動全体を通して、適切な行動をしている時の関わりや声掛けをこれまで以上に増やし、注目してほしいという気持ちを満たすことで気になる行動を減らしていきます。
(今回の支援内容で用いた理論等 確立操作の遮断化、刺激統制法、代替行動分化強化、消去及び消去理解、行動連鎖化の逆行連鎖、過剰修正法)

Juri, F.

【SST】友達との関わりをさらに増やす

2020-01-20

 戸外活動において、ペア活動を始めてから一年ほど経ち、遊びの中でペアの友達のことを意識できるようになってきました。始めた頃は、自由気ままに行動してペアを離れてしまったり、友達の意見を全く受け入れず自分勝手に行動してしまったりしていましたが、最近は声掛けをすれば、遊びを先に終えてもペアの子が来るまでその場で待ったり、遊ぶ場所を友達と交代で決めたりすることができるようになりました。また、教室に戻って来てからもその日のペアだった子と一緒に遊んでいることが多くなりました。言葉はあまり交わしていませんが、相手を見てニコッとしたり、輪をクルクル回したり一緒に縄跳びをしたりするなど友達と同じ遊びをしたり、おままごとで作った料理を友達に差し出したりする等、友達に関心が向いてきたと思います。これまでは、ペアを仲良しの子に限定して関係を深めてきましたが、今後は別の子ともペアを組んでもらい、色々な子と関わる機会を増やしていきます。その際、本人と相性が良さそうな子と組むよう配慮したり、仲良く遊べるよう指導員が仲介したりし、友達関係がさらに広がるよう支援していきます。

Juri, F.

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